秋空
秋の空と風が清々しすぎて、少し恥ずかしいくらいだ。
私の頭の中はとても小さな事がたくさん積み重なって、暗くはないがなんともじっとりとしている。
草原の前に立ち、そのまま風に溶けてしまいたい。
幼い頃は、たった一人、よく無心に、光の中で立っていた。そんな気がする。
やはりずっと自然に溶けてしまいたくて、刻々と明らかになる自分の境界や生理現象が疎ましかった。
文字と言葉と図形の示す意味に溢れた都会でも、私は心の中にあの草原を見ている。心の中に作り出そうとしている。
人間用に切り取られてはいない、意味の洪水の光の中に、また立ちたいのだ。
多分ずっと、ただそれだけなのだ。