欲望による破壊
自分の欲を理解することが大事。
そう聞いてから、少しずつ欲を探している。
ずっと、少しずつしまいこんでいった私の欲たちを少しずつ、ほり出す。
美味しいものを、ゆっくり食べたい。
人がいて、適度に賑やかなところにいたい。
きれいな服を着たい。
美しくなりたい。
誰かと一緒にいたい。
かまってほしい。
思い煩うことなく、眠りにつきたい。
願わくばすべての人が、思い煩うことなく生きていてほしい。
ごくごく当たり前の欲望をあまりにもしまいこんでしまうと、行き先がわからなくなるんだな。
だけど掘り起こしても、持て余してしまう。
私は私に、欲があることを、許せていない。
しまいこんで、しまいこんで、しまいこんでなお強欲だと思っていた。
でも無欲を気取っていた。
強欲な、私。
欲を受け入れたら、多分今の私は壊れてしまう。
壊さなきゃいけないのだろう。
壊れたらどうなるかわからないから怖いのだろう。
休みの日、誰にも会わないからといつもより少し綺麗な服を着てでかけ、少し誰かに会うのを期待していた。
わたしの欲は、少しずつわたしを壊していく。
ほんの少しずつ。