取り戻せないこと
誰も悪くなかった。
人と人との関係性の作り方には大いに問題があったけど、それは悪意じゃなくて不器用さから生まれたものだ。
運が悪かっただけだった。
私が、何ができるわけでもなかった。
だけど、
私は結局何もできるようにならなかったという現実が、自分で問題を解決しようとしなかった事実が、逃げたことが、まだつらい。
あのとき、こだわって、逆らって、もう一踏ん張りなぜできなかったのだろう。何で一人でも頑張れなかったんだろう。納得するまで、やりきれなかったんだろう。
私は、何のためにあそこにいたんだ。
上手くいかなかったことで、その途中で得た知識と経験を糧にできなかった。
悔しい。
これが初めてじゃない。
結局私はまた、逃げ続けてしまうんだろうか。優しそうな人に匿われるのを利用して。
優しそうな人の、優しさと言う名の自己防衛を利用して。
本当は、私はもうちょっとだけ、真摯に対応してもらいたがっている。
それが私の表面的な価値を落とそうとも。
なのにもう、怖くなってしまった。正直で真摯な一言が。
最初に逃げたのはいつなのだろう。
取り戻せない、その最初の一回目。
その時、私は社会に少し馴染んだんだろう。
かなうことなら一回目逃げそうなまさにその瞬間の私に、思いっきりビンタくらわしに行きたい。
ちょっともう馴染みすぎてぬるま湯で、抜け出せなくなったバカで愚かな私にはならないように。